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活動ブログ  2019年03月

J3第1節・vsFC東京U-23

 

 

 

「あけましておめでとうございます」

 

行き交う人々が季節外れの挨拶を口々に交わす、2019年3月10日の朝。

 

今日はギラヴァンツ北九州がミクニワールドスタジアム北九州で迎える、明治安田生命J3リーグの開幕戦。サポーターにとってはこの日こそがお正月のようなものなのだ。

 

 

 

開幕戦の対戦相手はFC東京U-23。これまでの対戦成績はこちらの優位だが、決して安心できる相手ではない。(そもそも昨年最下位のギラヴァンツに安心できる対戦相手など居ないのだが)

 

北九州では昨日まで続いた陽気が嘘のように早朝から強い雨が降り続き、更には暴風警報まで発令されていた。サッカー観戦どころか外出するのも困難に思える悪天候の中、それでも朝からミクスタに集ったサポーター達の表情は、皆一様に明るかった。

 

文字通り「最悪」のシーズンとなった昨年の結果を受け、クラブは再起に向けて「昇格請負人」の異名を持つ小林伸二氏を招聘。監督兼スポーツダイレクターとしてチーム編成の全権を託し、選手・スタッフと共に新たな取り組みを次々に始めた。日々の練習やキャンプ等を通してその内容はサポーターにも知られるようになり、小林監督が新たに構築するチームへの期待は次第に高まっていった。

 

期待が失望に終わるシーズンを幾度も過ごしてきた北九州のサポーターにも「今年こそは何かが変わるかもしれない」と思わせてくれる、その期待が皆の表情に浮かんでいるように感じた。

 

 

 

変化の兆しは、試合開始前から既に現れていた。

 

ピッチに入場した選手達が円陣を組み終えた直後のこと。昨年まではゆるやかな動きで自らのポジションに向かっていた選手達が、一斉に全速力のダッシュで鮮やかに散っていく。その姿にスタンドから感嘆交じりのどよめきが起こった。

 

「やはり今年は何かが違うのではないか」

 

試合開始のホイッスルが鳴った後、その期待は更に高まることになる。

 

 

 

選手の動きに、明らかな変化が見えた。

 

攻撃にも守備にも複数の選手が連動して切り替えが早く、ボール保持者の周囲が効果的に動くことで複数の選択肢が自然に発生し相手を切り崩す。小林監督が就任時から語る「コレクティブで攻守の切り替えが早いサッカー」。その萌芽が既に現れ始めているように思えた。

 

「選手の動きが全然違うよ」

「短期間でここまで変わるのか」

 

ゴール裏を埋めるサポーターの間から次々に驚きの声が上がる。

 

 

 

その驚きがまだ覚めやらぬ、前半10分。

 

新井博人から茂平へと繋いだボールをサイドで受けた池元友樹がクロスを上げる。すかさずゴール前に視線を移したサポーターの目に、飛び込んで来る姿があった。

 

法政大学から新加入のFW、ディサロ燦(あきら)シルヴァーノ。

 

「レレ」の愛称で親しまれるルーキーが頭で捉えたボールは、GK児玉剛が伸ばした手の上を抜け、ゴールネットに突き刺さった。

 

スタンドを揺らす歓呼の渦。繰り返す「ディサロ」コールの波。「レレ!」と絶叫し拳を突き上げ全身で喜びを表現するサポーター達。ミクスタの熱狂が一気に最高潮に達した瞬間だった。

 

 

先制点の勢いに乗るように、その後もギラヴァンツの攻勢が続く。既存の選手も新加入の選手もそれぞれの持ち味を発揮して躍動する姿に「こんな試合が観たかったんだよ」と周囲のサポーターが思わず感嘆の声を漏らす。

前半の終わり頃から後半にかけては相手に押し込まれる展開も増えたが、守備陣の献身的な奮闘とGK高橋拓也のファインセーブにも助けられ、無失点で1点リードのまま試合は終盤に向かう。

 

80分、先制点を決めたディサロがゴール前で倒されFKを獲得。

キッカー新井の左足から放たれたボールは壁を越え、絶妙な軌道を描いてゴールに迫るが僅かに届かずクロスバーを叩く。追加点への期待と興奮にサポーターは更に勢い付き、風雨に負けじと声を張り上げる。

 

試合終了間際となった87分。

待望の追加点は、またしても新戦力によってもたらされた。

 

大分トリニータから期限付き移籍で加入したMF、國分伸太郎。

85分にディサロと交代で投入されたわずか2分後、同じく新加入の町野修斗が放ったクロスをゴール前で受けるとそのまま冷静に流し込む。ダメ押しとなる2点目。更なる歓喜にスタンド中が湧き返った。

 

 

そして90分が経過し、3分のアディショナルタイムを残すのみとなった時。

鳴り響く太鼓の音が止み、瞬時の静けさの中から手拍子と歌声が響き始めた。

 

北九州 アレアレ 北九州 アレアレ

北九州 アレアレ 北九州 アレアレ

この世にただひとつ 俺たちの誇り

永遠(とわ)にある限り 叫び続ける

 

勝利目前に歌うチャント「この世にただひとつ」。昨年は歌う機会があまりに少なかった、勝利を呼び込む祈りにも似た声がスタジアムを包み込む。

手を打ち、声を嗄らし、ただひたすらに皆がその瞬間を待つ。

 

 

そして遂に、主審のホイッスルがピッチに長く、高らかに鳴り響いた。

 

小林監督率いる新たなギラヴァンツ北九州の勝利を告げる音。

昨年J3の最下位に低迷したチームが確実な変化を遂げ、最初の成果を掴み取った瞬間だった。

 

 

 

勝利の後、歓喜に沸くサポーターと選手が久々のハイタッチと勝利のジャンプで喜びを分かち合う。

サポーターも選手も皆が最高の笑顔で触れ合うことができるこの幸せな瞬間をひとつでも多く味わえることを願いつつ、今年もギラヴァンツ北九州を全力で応援していきたい。

 

その先に、目指すものが必ず見えてくると信じて。

 

 

 

KITAKYU NERDSでは今年新たに横断幕を作成し、開幕戦からバックスタンドに掲示した。 横断幕に掲げたメッセージは『みんなで叶える昇格物語』。

 

 

まだ最初の1試合が終わったばかり。

そんなことを考えるのはまだ早過ぎる。

それは十分に承知している。

 

けれども。

 

今日ミクスタで躍動した選手達と歓喜を分かち合いながら、脳裏をよぎる思いがあった。

 

 

もしかしたら。

ひょっとしたなら。

 

 

夢物語では、ないかもしれない。

 

 

 

 

 

記事執筆:柴住敦史(@footbari

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